支援費上限枠撤廃に関するニュース
この件については毎日新聞の報道が各方面から入りました。よくまとまっているのでご覧下さい。
25日の見直しを報ずるNHKニュースもあります。
詳しく知りたい方には橋本副会長経由の全国障害者介護保障協議会ニュースをご覧下さい。


NHK1月25日の、7時のニュース
http://www.nhk.or.jp/news/2003/01/25/k20030125000027.html
(動画です。容量の大きいパソコン向き)
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毎日新聞(東京1月27日)

<障害者支援費>厚労省が「上限」撤廃 障害者団体と合意

障害者の「支援費制度」で、厚生労働省がホームヘルプサービスの補助金配分基準を
設けようとしたのに対して、障害者4団体が「サービスの『上限』になる」と反発し
ていた問題で、27日双方の合意が成立した。厚労省は、同制度移行時は原則として
現在の補助金配分額を維持するなど障害者側の要望をほぼ受け入れた。同省の河村博
江社会・援護局長は4団体側に「コミュニケーション不足があった」と反省の弁を述
べた。

 4団体は、日本障害者団体連合会、日本障害者協議会、全日本手をつなぐ育成会、
DPI日本会議。厚労省との合意事項は配分額の確保のほか(1)今回定められるの
は市町村への補助金の交付基準で、個人のサービスの支給量の上限ではない(2)交
付基準は今後、利用状況を踏まえて見直す(3)障害者が参加する在宅サービスの検
討会を早期に設置し、来年度から補助金が打ち切られるコーディネーター事業の問題
なども協議する――など。

 合意後、厚労省が発表した補助金の交付基準は▽一般障害者が月約25時間(6万
9370円)▽視覚障害など特有のニーズ(ガイドヘルプなど)を持つ障害者が同約
50時間(10万7620円)▽全身性障害者が同約125時間(21万6940
円)。この基準に基づいたうえ、これまでの補助金額を下回る市町村には、上乗せし
て従来の額を確保できるようにする。

 厚労省には14日から障害者団体が連日抗議に訪れ、同省側も特別警戒態勢を取る
など緊迫した状況が続いていたが、ほぼ2週間ぶりに解決する。

 初めて統一行動をとった4団体の代表は記者会見で「100%満足ではないが、
『上限』撤廃が得られた。地域で生きる障害者のサービス事業をより充実させるた
め、今後も協力して活動したい」などと述べた。
【須山勉】(毎日新聞)
[1月27日20時26分更新]



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中心になっていた障害者介護団体の発信メールを貼り付けます。
長いです。行動する障害者の力ですね。


題名:ホームヘルプ問題 解決 28日の抗議集会は中止です
宛先:<Undisclosed-Recipient:;>
Cc:
差出人:"全国障害者介護保障協議会 −大野" <ohnonaoyuki@yahoo.co.jp>
送信日時:2003/01/27 20:20
厚生省ホームヘルプ問題 解決しました!
28日の抗議集会は中止です


DPIホームページに最新情報を入れていきます
http://homepage2.nifty.com/dpi-japan/dpi-japan.htm

ホームヘルプ事業の国庫補助基準を巡る問題について

 本日午後2時に、厚生労働省から「今回の国庫補助基準に関する考え方」が発表さ
れたことを受け、私たち4団体で構成する「支援費制度緊急全国行動委員会」が1月
28日に予定していた厚生労働省前での抗議行動を中止する。

 なお、28日午前10時30分より、日比谷公園(予定)にて報告集会を行う。

皆の一人一人の行動の結果です!

  連日寒風の中で行動に参加して頂いた皆さん、そして、それぞれの地域で様々な
取り組みをして頂いた皆さんの取り組みの結果、事態の打開に大きく動きはじめまし
た。
 「今回の国庫補助基準に関する考え方」で獲得した点を、着実に実施させていくた
めに、さらに、継続した取り組みが重要になります。

○厚労省の回答・見解・行動提起、合わせてご覧ください。(27日中にはすべてUPし
ます)

■緊急連絡  

■厚生労働省の「今回の国庫補助基準に関する考え方」(「考え方」のみ)

■厚生労働省の「考え方」と解説

■行動提起
   ・一人ひとりの必要に応じた支給決定を。市町村に対して働きかけよう!
   ・市町村障害者計画に介護サービス、地域生活支援の数値目標を
   ・全国各地で脱施設・地域での自立生活の取り組みを進めよう
   ・地域での自立生活確立のための財源確保に向けた取り組みを
   ・真に脱施設・地域での自立生活が進むような法制度、システムの確立を

■厚労省案比較表

 

■ 緊急連絡 

2003年1月27日

支援費制度全国緊急行動委員会
(特定非営利活動法人 DPI日本会議
全国自立生活センター協議会
全国公的介護保障要求者組合
全国障害者介護保障協議会)

ホームヘルプ事業の国庫補助基準を巡る問題について

 本日午後2時に、厚生労働省から「今回の国庫補助基準に関する考え方」が発表さ
れたことを受け、私たち4団体(日身連、育成会、JD、支援費制度全国緊急行動委員
会)で構成するが1月28日に予定していた厚生労働省前での抗議行動を中止する。

 なお、28日午前10時30分より、日比谷公園(予定)にて報告集会を行う。
 

■厚生労働省よりの回答

 
今回の国庫補助基準に関する考え方

1.今回、新たに適応される障害者ホームヘルプ事業の国庫補助基準は、市町村に対
する補助金の交付基準であって、個々人の支給量の上限を定めるものではない。

2.今回の国庫補助基準は、現在の平均的な利用状況を踏まえて設定す
るものであり、今後、支援費制度施行後の利用状況等を踏まえ、見直すこととする。

3.国庫補助基準の設定に当たっては、現在提供されているサービス水
準が確保されるよう、現状からの円滑な移行を図ることとし、従前の国庫補助金を下
回る市町村については、移行時において、原則として、従前額を確保するものとす
る。

4.検討会をできるだけ早い時期に設置することとし、支援費制度下に
おけるホームヘルプサービスの利用や提供の実態を把握した上で、在宅サービスの望
ましい地域ケアモデル、サービス向上のための取組等、障害者に対する地域生活支援
の在り方について精力的な検討を行うこととする。
 また、国庫補助基準については、支援費制度施行後のホームヘルプサ
ービスの利用状況等を踏まえ、検討会において、その見直しの必要性について検討す
るものとする。
 なお、検討会の運営等については、利用者の意向に配慮し、利用当事
者の参加を求めるとともに、公正な運営が確保されるよう、適切な委員構成とする。

5.今後とも、ホームヘルプサービスについては充実を図るとともに、そのために必
要な予算の確保につき、最大限努力する。



 

■ 厚生労働省の回答と支援費制度全国緊急行動委員会の解説

緑字=厚生労働省よりの回答
黒字=支援費制度全国緊急行動委員会の解説

厚労省「回答」に対する見解

支援費制度全国緊急行動委員会

 

1.今回、新たに適用される障害者ホームヘルプ事業の国庫補助基準は、市町村に対
する補助金の交付基準であって、個々人の支給量の上限を定めるものではない。

○上限撤廃について前回まで文言として明示されていなかったが、ホームヘルプの支
給量については、現行通り上限なく必要に応じて支給することができることを改めて
確認し、市町村に対しても誤解がないようにするために、第一番目の項目として掲げ
られた。

2.今回の国庫補助基準は、現在の平均的な利用状況を踏まえて設定するものであ
り、今後、支援費制度施行後の利用状況等を踏まえ、見直すこととする。

○要求していた"試行的"な仕組みとして、今回の交付基準は今後も支援費が始まった
後の利用状況を見ながら、基準の在り方や基準値について見直していくこととされ
た。また、見直しについては4番目で説明される検討委員会で検討することとなっ
た。

○交付基準については、今回全国の利用状況について調査し、確保した予算の額と勘
案して、平均利用状況を上回る水準として"平均利用時間の約1.5倍"に設定される。
 平均利用時間よりもサービスが必要な人についても、今回平均利用時間の1.5倍を
交付することと平均以下の利用者が存在することから、全体としては現状のサービス
を確保できる補助金水準となっている。

 

3.国庫補助基準の設定に当たっては、現在提供されているサービス水準が確保され
るよう、現状からの円滑な移行を図ることとし、従前の国庫補助金を下回る市町村に
ついては、移行時において、原則として、従前額を確保するものとする。

○「現在提供されているサービス水準が確保されるよう」の文言をいれることで、現
在のサービス水準を下げないことを改めて確認する。「現在提供されているサービス
水準」とは個人のサービス水準だけを指すのではなく、その市町村としてのサービス
水準を指している。

○移行時措置として、15年度予算の約1割(約28億)を調整金として別枠で確保し、
原則として各市町村が前年度の国庫補助金を下回らないよう上乗せを行うことになっ
た。「原則として」は国として最大限の表現であり、従前の額を確保できるよう実施
するとされた。厚労省は調整金28億の中で全ての地域の上乗せ分を確保できると見て
いる。(東京都が7〜8億円足りないという新聞報道があったが、ホームヘルプ事業
費を一番多く使っているのが東京都であることを考えると、28億という調整金は充分
な額であると考えられる。)

○「従前の額」とは現行のサービス時間数と15年度からの支援費単価を用いた額であ
り、14年度実績+単価アップ分も見込んだ額である。

○「移行時」は単に15年度ということではなく、今回の交付基準をさらに見直しする
時点までを指す。見直しの際にさらに必要ならば移行時の措置を講じる。サービスの
基準があがっていけば、やがて移行時の措置は必要なくなる。サービスを交付基準に
あわせて引き下げるのではなく、高い地域については維持しながら、全体の底上げを
図っていくという考えが示された。

 

4.検討会をできるだけ早い時期に設置することとし、支援費制度下におけるホーム
ヘルプサービスの利用や提供の実態を把握した上で、在宅サービスの望ましい地域ケ
アモデル、サービスの質の向上のための取組等、障害者に対する地域生活支援の在り
方について精力的な検討を行うこととする。
 また、国庫補助基準については、支援費制度施行後のホームヘルプサービスの利用
状況等を踏まえ、検討会において、その見直しの必要性について検証するものとす
る。 なお、検討会の運営等については、利用者の意向に配慮し、利用当事者の参加
を求めるとともに、公正な運営が確保されるよう、適切な委員構成とする。


○検討委員会の検討内容についてこれまでは、明確に示されていなかったが「国庫補
助基準の見直し」「在宅サービスの望ましい地域ケアモデル」「サービスの質の向
上」「地域生活支援の在り方」の点について検討することが具体的に明示された。こ
れにより、今後の介護保険組み込みについても当事者団体抜きでは決定できなくなっ
た。

○検討委員会は利用者、事業者、市町村、学識経験者で構成することが示された。委
員会の構成や運営については当事者団体と相談しながら行われる。

○委員会に入れない当事者団体についても、事前に意見を徴収しながら、検討を進め
ていくこととなった。


5.今後とも、ホームヘルプサービスについては充実を図るとともに、そのために必
要な予算の確保につき、最大限努力する。

○今後の予算確保についての文言が追加された。厚労省として、"ホームヘルプサー
ビスは地域支援の中で最も重要な事業であり、現状のサービス水準を維持し、かつ、
各地域の底上げを図っていくための全体的な予算確保について、今後当事者団体と協
力しながら行っていきたい"という考えが示された。




■ 行動提起 


一人ひとりの必要に応じた支給決定を。

市町村に対して働きかけよう!

 今回の「考え方」のトップ項目で「個々人の支給量の上限を定めるものではない」
ということを明確にさせ、さらにそれを受ける形で「現在提供されているサービス水
準が確保されるよう、…原則として、従前額を確保する」と述べさせています。
 つまり、従来通り上限なく必要に応じて決定すること、そのための予算措置を確保
することを確認したのです。
 これから2月、3月に各市町村で支援費の支給決定がなされる時期になります。こ
の間のドタバタで、市町村に「国が上限設定を行った」かのような受け止め方が出て
います。したがって、今回の「考え方」の第1項目目に「支給量の上限を定めるもの
ではない」とあらためて確認させたわけです。そのことを正しく市町村に伝え、一人
ひとりの必要に応じた支給決定をさせていきましょう。

 

市町村障害者計画に介護サービス、

地域生活支援の数値目標を

 厚労省は「交付基準」の必要性として、「どこの地域でも一定のサービスが受けら
れるようにすること」を「理由」の一つにしていました。「遅れた市町村のサービス
の底上げ」を図ると言っていたわけです。
 もちろん、私たち障害者側も全国各地の市町村で障害者が当たり前に自立生活・地
域生活ができるようにしていくべきだと考えます。しかし、そのためには、各市町村
で介護サービス充実の施策が進むことが必要です。国レベルでは、来年度から新しい
障害者基本計画と障害者プランが始まります。これにあわせて、市町村障害者計画の
見直しも行われていきます。こうした見直し・検討に対して、当事者の立場からしっ
かりと提起していきましょう。介護をはじめ地域生活支援関係のサービスについて充
分な数値目標を、市町村障害者計画の中に盛り込ませていきましょう。

 

全国各地で脱施設・地域での

自立生活の取り組みを進めよう

 全国各地で、一人ひとりのニードに応じたサービス提供がされるためには、何より
も、地域での自立生活に向けた取り組みが必要です。障害者自身の運動無しに、重度
障害者の自立生活を保障するサービスが実現したことはありませんでした。
 考え方の4項目では、「利用者の意向に配慮し、利用当事者の参加を求める検討委
員会」を設立し、「望ましい地域ケア、サービスの質の向上のための取り組み、障害
者に対する地域生活支援の在り方」を検討することになりました。
 そのためには、一部の地域ではなく、全国各地で自立生活をしている障害者が着実
に増えていくことが検討委員会の議論を積極的に進めていく上でも重要です。

 

地域での自立生活確立のための

財源確保に向けた取り組みを

 今回の問題の発端は、9月の概算要求に比べて12月の予算案で、施設に比べて在宅
サービス関係の予算が大きく削られたことにあります。厚労省に対する連続した大衆
行動をはじめ、全国各地で様々な取り組みを行った結果、現行サービス水準は維持さ
れることになりました。
 しかし、ホームヘルプをはじめ地域生活支援の予算が足りなくなると、再び、今回
のような問題が起きかねません。
 今回の「考え方」の5項目にも、「今後とも、ホームヘルプサービスについては充
実を図るとともに、そのために必要な予算の確保につき、最大限努力する」とありま
す。
 予算確保を官僚だけに任せることなく、障害者運動として強力な働きかけが必要で
す。 この間、各地で地元選出議員に対する働きかけやマスコミを全力で行ってきま
した。そのことによって、障害者の地域生活に対する議員やマスコミ、世論の関心を
確実に高めました。私たち障害者運動の側も、「経験値」を高めたとも言えます。来
年度以降の予算で、地域生活のサービスに重点的に確保されるように取り組みを進め
てきましょう。

 

真に脱施設・地域での自立生活が

進むような法制度、システムの確立を

 今回の一連の事態は、現在の日本でのノーマライゼーションの危うさを象徴的に示
したと言えます。
 「ノーマライゼーション」「脱施設・地域生活移行」が、国の障害者基本計画でも
うたわれるようになってきました。しかし、法的には、施設関係の予算については
「国庫負担金」、在宅サービスについては「国庫補助金」となっていて、国の責任の
重さが違います。そうした施設サービスが偏重されるような法的仕組みになっている
ことが、背景にあります。
 さらには、現在、利用者のサービス受給権も明記されていませんし、市町村障害者
計画は法的に努力義務の範囲に止まっています。
 脱施設・地域での自立生活の確立が、理念、言葉だけに止まることなく、着実に進
んでいくような障害者基本法の改正や障害者差別禁止法の制定等も今後の大きな課題
です。

 真に地域での生活が当たり前になる社会を実現するために、全国の障害者の声を一
つにして、継続して今後も取り組んでいきましょう。



すでに、東京入りをしている方へ連絡がつく方は、情報をできるだけお流しくださ
い。



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自薦ヘルパー推進協会/広域協会  
小平市花小金井南町1-26-30-102
0037-80-4455
0424-62-5996  fax0424-67-8108

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新潟日報社説
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