<ヘルパー吸引検討委員会>
第二回
これは一傍聴者の私的レポートです。いずれ協会本部から正式レポートがあるかも知れません。
厚労省のHPにも公的報告がでることと思います。
2月10日(月)午後5〜7時先週と同じ厚労省9階の省議室で第二回検討会が開かれました。座長他メンバーは同じで、平林委員が欠席でした。今回は関係者ヒアリングとそれを巡る質疑応答が主でした。 開会後15分ほど本日の説明と参考人の自己紹介があり、その後3部門20分ずつの陳述がありました。看護関係3名、福祉ヘルパー関係4名、ALS協会3名の参考人の陳述がありました。 以下に配布された資料から3枚だけ写します。議事次第・資料目次・ヘルパー三団体の意見です。 資料目次には枚数を付け加えました。看護(19)介護(5)患者(3)という資料の厚さがそのまま各部門の印象の強さの差となっていました。 |
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議事次第 |
看護師等によるALS患者の在宅療養 |
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資料目次 | 資料目次 <資料1> ○ ヒアリング項目(案) <資料2> ○佐藤参考人提出資料(3) ○上野参考人提出資料(7) ●石川参考人提出資料(9) ○田中参考人・村田参考人・因参考人提出資料(2) ●中垣参考人提出資料(3) ○橋本参考人・長岡参考人・海野参考人提出資料(2) ○長岡参考人提出資料(1) (●は当日提出のもの) |
橋本さんのヒヤリング |
介護職による資料 | 平成15年2月10日 在宅のALS患者に対する「痰の吸引」の療養支援の検討 に対する意見 社団法人 日本介護福祉士会 全国社会福祉協議会・全国ホームヘルパー協議会 日本ホームヘルパー協会 ○ホームヘルプサービスの事業の中で、近年、ALS患者の方をはじめ医療機器や訪間看護など、医療的な支援を受けながら在宅で暮らす利用者にサービスを提供することが多くなっています。こうした利用者の方が、在宅で暮らすうえで欠かせない「痩の吸引」など医療的な処置は、利用者や家族の方の大きな負担となっており、こうした処置をホームヘルパーが行うことへのご要望がたいへん切実なものになっていることを、私たち自身も充分受け止めています。しかし、医療従事者ではない私たちがこうした業務ができないことをご説明し、訪問看護やかかりつけ医などと連携をしながら、できるだけ利用者や家族の二一ズに応えるサービス提供に努めているところです。 |
海野さんのヒヤリング |
傍聴記 前回聞こえにくかったので今回は前から3列目に座りました。聞こえたけれども参考 人用のマイクが悪くて音が割れていました。患者家族等参考人と銘打ちながら患者家族 3名対施術者側7名というアンバランスはいかがなものかと思いました。専門職参考人 はいずれもビッグな団体の長であり発表力表現力十分な方達ばかり。ヒヤリングの陳述 も堂々たるものでした。看護職はいい事例ばかりを挙げている感じ。印象ばかりでは悪 いので提出資料に沿って説明します。 看護職 ・佐藤参考人 統計調査によれば吸引は訪問看護業務の中でも難易度の高い業務。訪問看護体制 の充実改善、病院との共労、機器の導入などで質量の高い看護を目指し、看護と 介護の専門性をそれぞれ確立したい。 ・上野参考人:一日4.5時間のケアを連日行っている事例を紹介 ・石川参考人:毎日複数回の訪問ALS患者2例あり。患者はヘルパーには家事を頼み たいと希望。ステーションの充実NSボランティア、専属NSの検討、教育、診療報酬 上の見直し等必要。 介護職 ・田中・村田・因共同資料は慎重な三団体共同の意見書を提出しているので上の 参考資料をご覧頂きたい。 要点は2点。 1)地域での医療的な支援体制の確立を早急に 2)ヘルパーの痰吸引に当たってはリスクを踏まえ法整備など十分な条件整備を図って 頂きたい。(各論詳細は上記資料参照) ・中垣参考人:ヘルパーや介護士だけでなく多くの人の支えないと家族の負担減らない 一方ALS協会の方は、海野さんがパソコンを使った立派な発表をしましたが、委員に 配られた資料はパソコン画面と同じ図表ばかりが11面載ったA42枚のみでしたので、 後で参考になる数値がなくて委員メンバーもお困りの様子でした。金沢さんが用意した 資料と近畿ブロックがQOL班会議で発表したヘルパー吸引が必要だと結論づけた 発表資料を何故提出しなかったか不思議です。終了後次回には提出すると言っていま したけれど。どうしたのかな? 長岡さんは資料用紙にあることに一寸色を付けて陳述。吸引は何回ナースコールは 1日に200回とさすが具体性がありました。 橋本さんは資料なしの読唇通訳。署名運動に協力してくれた筋ジスの少年の手紙 (母が僕の介護疲れで逝ってしまった)を紹介。それもいいけど、あの場で吸引してもら って自分はこうして無資格の学生ヘルパーに助けてもらって何年も無事に過ごしてい る。危険じゃないよ、と言ってもらいたかった 、と正直なところ思いました。何か事情 があったのかも知れませんが、地方患者の期待を背に傍聴に行ったのでちょっと肩 すかしの感でした。でも患者さんご本人が皆さんの前で唇だけで意見陳述している姿 はそれだけで重みがあったとは思います。 三者のヒヤリング後各委員による質疑応答や意見陳述がありました。 ・五阿弥:具体的にNS以外がやっている数はどれくらい?(48,5%)看護職は絶対 ヘルパーにやらせてはダメなのか?(原則として危険性があるので医療職の仕事と 考える:伊藤常務理事) ・福永: 呼吸器療養者が増えている。在宅は業務間のバリアをなくしてくれる。ヘル パー協会はリスクが高いからやれないと言うが地元の現場ではやりたいという人 多い。連携医師の指導責任もある。ヘルパー協会はしたいかどうか(したいかどうか でなく出来ない。キチンとした教育必要) ・星:看護協会はペイすればやるのか。(事業ラインを保持しなければならない)。患者 はNSが100%やったら望ましいか。(それは入院。レベル低いNSもいる)。家族が やることをどう思うか?(責任が問われない) ・伊藤:なじみが必要だが指名制NSはどうか(STとしては長続きさせるにはローテ したい・患者側には望ましい)。今回はALSに限ってと考えていいのか。(YES) ・山崎:この検討会だけの問題でない。外国ではヘルパー吸引もあるが在宅の看護職 の下の職種と位置付けられている。120万の職能団体だからマイナースも出来れば 探したい。 ・川村:在宅療養は安上がりの医療の場ではない。制度としての解決を求めたい。 ・前田:自宅で脳梗塞のため20年吸引してきた。各々の立場でどうしたら命を一番 大切に出来るか。ユートピアでなく現状で困っている家族にどうすればいいのかを 考えたい。 総じて協会の陳述は何故か迫力なく、「現役の患者家族には遠慮があるのかな」 とつぶやいていた協会メンバーもいました。資料もないようでは協会は本気でヘルパ ー問題を検討してるのか疑問視される向きもあります。検討委員会はこれで終わる わけではないので、吸引問題解決促進委員会がもう少し何らかの手を打つ必要を 感じました。 (若林記) |
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