資料5
在宅療養対策の事例
<尾道市における取組について>
1.ポイント
(1) 主治医を中心として、在宅療養患者に対し、医療サービス・福祉サービスを包括的に提供
@在宅の長期療養患者は、二一ズが複合的であり変化していくことから、複数職種がチーム
となり協働して対応
Aサービス提供者とサービスの受け手が一堂に会する事前ケアカンファレンスを開催し、
意識統一。ケアカンファレンスは、サービス提供開始後も、必要に応じて・適宜開催。 ※ ケアカンファレンス⇒協働によるケア実施⇒モニタリング⇒ケアカンフアレンス
B医療依存度が高い在宅療養患者については、看護職がケアマネージャーとなりケアプランを作成
(2)ヘルパーに対し医療に関する研修を実施
○ヘルパーが医行為を行うためのものではなく、ヘルパーが看護職等の業務についての
理解を深めることが主眼
(3)たんの吸引について
@墓本的には、看護職、家族が実施
A極めて例外的な場合に、一定の条件を満たすヘルパーが実施することがあるが、主治医
の指示や実施後の主治医への報告等を求めている。
2..取組の具体的な内容
(1)ケアカンファレンスの開催:全ての患者(ケース)について開催
@参加者
利用者、利用者家族、主治医、ケアマネージャー、訪問看護師、ヘルパーデイケア施設職員、
理学療法士、診療所看護師、訪問歯科医師等、患者の在宅療養に関わる全ての者が参加
Aケアカンファレンスの種類
(a)初回ケアカンファレンス:初回のケアフラン作成時(15分程度)
入院患者については、在宅療養移行前に開催
(b)見直し(継続)ケアカンファレンス:患者の容態に応じて柔軟に開催・不定期 (c )危機管理ケアカンファレンス:
病状急変等二一ズの急激な変化に対応して、主治医等が判断の上招集
Bケアカンファレンスの内容
(a)訪問診療計圃書、介護俣険の主治医意見書、ケアプラン案等の資料の配布
(b)ケアマネージャーからケアプラン案の説明
(C)主治医から、訪問診療計画、サービス提供時に注意すべき病態その他の留意事項について説明 (d)他の参加者からの提案や質問
(e)利用者・家族からの希望や質問
(f)利用者・家族が、同意書・確認書に署名
(2)ヘルパーへの研修
@目的:ヘルパーが、看護と介護の違いの認識等を身に付けるための研修
・看護と介護の違い、ヘルパーができることとできないととの自覚の育成
・医療行為を安易に行うことの危険性の認識
・患者の異常を察知して、医師や看護職に報告するための観察眼や視点の蕎成
A実施主体:尾遺市医師会と社会福祉協議会とが協カして実施、個々の医療機関が二一ズ
に応じて実施
B研修内容:医療依存度の高い利用者に対する医学的留意事項を研修
(a)医学的な基礎知識に関する研修
eg・呼吸器の仕組み・疾華1の種類と特徴、気管切開のか法と留意事項
(b)患者の退院前に、訪問看護師、患者の家族、ヘルパーなどに対して、当該患者に関す る医学的留意事項を指導
eg。当該患者に関する、清潔保持の方法、摂取水カの調整、ネプライザーの必要性、たんの吸 引の方法・頻度
(c)ヘルパー等の依頼に応じて、老健施設や病院等において、見学実習
eg.ケアプランの理論、特定の疾患の理解、バイタルサインと全身症状の見方、感染症の 予防、清拭の方法、たんの吸引方法
(3)たんの吸引について
@実施状況
(a)基本的には、看護職、家族が実施
(b)病状が安定している患者について・医師や看護職による実施が困難な場合であって、 一定の研修や看護職との同行訪問を積み重ねたヘルパーが、.悪化や事故に繋がる可能性
が極めて低いと判断され、利用者にとってメリットが大きいと思われるときに限り、
主治医の指示の下、主治医や看護職と綿密な連携を図りながら、実施することもある。
A実施方法
(a)主治医が、たんの吸引の手技を修得していると認めたヘルパーに対して、訪問介護サ
一ビス指示書を交付
(b)ヘルパーは、指示書に基づき、主治医や看護職と緊密に連絡を取りながら、実施
(c)ヘルパーは、実施後に主治医に報告
(d)主治医は、ヘルパーによる実施状況を評価、必要に応じて改善の指示
(参書資料)
○ 「看護職の声と実践例に解決糸口を探る」おちとよこ “ホームヘルパiの医行為;"一橋出版2003年
○ 「ケアプランなどの経験交流尾道市のケアカンファレンスの実際」片山壽
○ 「『制度が意識を変えていく』介護保険下のかかりつけ医の役割」片山壽 “GPnet"厚生科学研究所 1999年10月号
○ 「介護保険における開業医の役割・勤務医の役割」片山壽「治療」南山堂2003年3月号
これらの資料のほか、尾遭市医師会片山壽会長からの聞き取りを基に作成
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