吸引を必要とする関係者の交流会

日時 : 平成15年3月5日(水)18:30〜20:30

場所 : 大手町サンケイプラザ 301

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資料1 分科会概要

1、       国によるヘルパー吸引問題検討設置への流れ

時期

内容

2002年8月

日本ALS協会、賛同5団体

 ヘルパーの吸引実施を求め署名活動実施 17万8千名

2002年10月

155回臨時国会 参議院決算委員会 

 民主党谷議員 「ヘルパーの吸引を一定の研修を前提に認める

ことができないか」  

 坂口大臣   「そのような検討をする時期に来ていると思う」

2002年11月

日本ALS協会 坂口大臣へ要望書提出

 日本ALS協会「ALS等の吸引を必要とする患者に医師の指

導をうけたヘルパ−等介護者が日常生活の場

で吸引を行うことを認めてください」

 坂口大臣   「吸引問題の検討会を設け、春までに決着をつ

けたい」

2003年2月

「看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会」

設置

2003年3月

分科会検討終了予定 

2、看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会

(1)検討会内容

@    タイトル
    看護師等によるA L S患者の在宅療養支援に関する分科会

    A 趣旨
      在宅のA L S患者に対するたんの吸引行為についての患者・家族の負担の軽減を図るための方策につ      いて、「新たな看護のあり方に関する検討会(川村座長)」の下に分科会として位置付け、検討を行      うこととする。

    B 検討課題

      ・ 在宅A L S患者の療養生活の質の向上を図るための看護師等の役割

         ・ A L S患者に対するたんの吸引行為の医学的・法律的整理

      C メンバー構成

       伊藤 道哉   東北大学大学院医学系研究科講師
         川村 佐和子  東京都立保健科学大学保健科学部看護学科教授
         五阿弥 宏安  鞄ヌ売新聞社論説委員
         平林 勝政   国学院大学法学部教授・学長特別補佐
         福永 秀敏   国立療養所南九州病院長
         星 北斗    (社)日本医師会常任理事
         前田 雅英   東京都立大学法学部教授
         山崎 摩耶   (社)日本看護協会常任理事

    D 検討スケジュール

      本年度未を目途に結論を得るため数回開催を予定.

 

概要

1回 2月3日(月)

厚生労働省9F省議室

@    ALSに関する概況説明

A    看護師がALS患者に行う一時的吸引法について

2回 2月10日(月)

厚生労働省9F省議室

患者家族等関係者からのヒアリング

@    看護職 A ヘルパー B 患者家族

第3回 2月19日(水)

経済産業省別館944会議室

@    在宅のALS患者に対するたんの吸引行為についての患者家族の負担軽減を図るための方策について

第4回 3月10日(月)

厚生労働省9F省議室

 

第5回 3月26日予定

 

 

    Eデータ編 資料2参照

(2)議論概要

 注:本分科会の公式議事録は後日、下記厚生労働省URLに公開されます。今回作成したものは、
  傍聴席にて聞き取れる範囲で簡易に記した内容になります。語彙・表現・発言者の趣
旨等は
  実際の表現や議事録とは、相違も予想されます。
あくまでもご参考としてのみお読みください。
  厚生労働省検討会URL:http://www.mhlw.go.jp/shingi/other.html#isei   

@    1回看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会

問題提起

意見及びまとめ

タイトルにあるとおり検討対象を限定してよいのか

<座長>

議論を進める上ではALSを具体例・前提としていきたいと思う。但し、結論を一般化する必要もあると思う。背後には医行為や看護のあり方などの大きな問題あることの共通認識をもちたい。

<医事課>

ここでは、ALS患者を特定して、在宅療養支援という観点からご検討いただきたい。但し、一般化可能かどうかというのは結論が出たタイミングで判断すべきことかと思う。

「看護師等」の「等」の定義について

<医事課>

通常、「看護師等」と言えば保健師・助産師・看護師という3師、プラス准看護師を指す用語です。しかし、今回は福祉職も入ると理解している。

 

 

 

 

分科会の位置づけ

 

 

 

 

 

 

分科会の位置づけ

<山崎委員>

この短期間に、しかもこの「あら看」の下、分科会という小さな会で大変大きなマター、保険医療福祉、医療保険、介護保険、全部にまたがってくるようなことを本当に議論ができるのだろうか。

<座長>

具体的な問題として時間の範囲内でご議論いただいて、やはり時間をかけた審議が必要となれば、それはそれで議論を尽くしていただく必要があろうかと思う。

<看護課>

「あら看」は在宅医療を推進の観点もある。その検討会の中で、委員の先生方にこの分科会を設置することについてご了承をいただいて、分科会がスタートしていることもある。本委員会のほうと連携を取っていただくという形を取りたいと思う。

吸引操作と危険性の関係

<福永委員>

迷走神経の刺激による心停止や呼吸停止の原因が吸引になるかは不明。A出血は吸引よりも、むしろカニューレの問題である。B吸引操作の技術は習得すればできるものである。それよりも清潔操作、あるいは全身の状態の管理、あるいは何か起こったときの対応のことのほうが、むしろ吸引操作においての問題になるのかと思う。

<川村委員>

 吸引操作自体は医学的判断が必要なものであり、危険性の高いもの。難易度も高い。

<平林委員>

痰の吸引による危険性が、常に危険であるかどうかということは、また別の問題である。常に問題であるかどうか、具体的にその患者にとって危険であるのか危険でないのか、ということの判断をうまくすれば、この問題がクリアできるのかという一つの論点の立て方があると思う。

<山崎委員>

患者個々の状態が違うので、吸引操作だけでなく、判断が大変重要である。それぞれ判断が伴い、操作が行われる。吸引という行為そのものは大変難しいものである。

在宅療養の支援のあり方

<山崎委員>

在宅で24時間ケアを受ける方が益々増えてくる中、いまのあり方では、すべて患者の自己責任、自己負担というところに終わっているのではないか。このことは、痰の吸引の問題だけではなく、在宅療養支援というふうにマクロで見たときに、もっともっと推進していただかなければいけないのではないか、ということを行政当局の皆さんに申し上げておきたい。いまのままだと、安心してとか、安全にというところからは、大変ほど遠いです。

   A第2回看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会

立場

ポイント

主な内容

 

 

看護職

 

 

 

看護職

現状評価

現行制度で十分対応できていないことに、大変心を痛めている。ご家族の皆様がご負担軽減のためにはどうすればいいか、訪問看護体制や制度について検討され、そして改善が図られるように、切に望んでいます。在宅医療の面から言いますと、ご家族がやむを得ず医療処置を行うことが前提としてなっており、在宅医療体制の整備が十分されてこなかったことを本当に残念に思います。訪問看護サービスは、まだ不十分だと思う。

痰の吸引と

危険性

ALSの患者の吸引というのは一人ひとり個別で、その時々に状況判断が求められる、難易度の高い看護です。吸引により引き起こされる合併症やリスクも多く、医学・看護学の知識・技術に基づいた個別の判断力が必要です。

ヘルパーの

吸引

ALS患者のケアは、介護ではなくて、むしろ医療保険がベースになる在宅医療だと考えます。現状で、ホームヘルパーの養成課程から考えて、命にかかわる行為をホームヘルパー一般の業務として拡大することは難しいのではないかと考えます。ホームヘルパーが誰でも、業として行うケアではないと考えます。サービスの質の向上が課題となっている現在、訪問看護サービスが足りないからと、その改善のために汗をかくことなく結論を出されることのないように、慎重に取り扱っていただきたいと思う。

ヘルパ|

現状評価

在宅での医療的な処置が利用者や家族の方の大きな負担となっており、これらをヘルパーが行うことへのご要望が大変切実なものになっていることを十分受け止めている。しかし、医療従事者ではないヘルパーがこれらをできないことを説明し、訪問看護などと連携をしながら、できるだけ利用者や家族のニーズに応えるサービス提供に努めている。

痰の吸引と

危険性

痰の吸引を担うことについては、ニーズや期待の高さを感じながらも大きな不安は拭えない。限定的であったとしても、ホームヘルパーが医療行為を行うことは大きなリスクがある。

望むこと

@    地域での医療的な支援体制を確立することが大きな課題であり、早急に充実させてください

A    ALS患者の方の『痰の吸引』をヘルパーが担うにあたっては、利用者及びヘルパーのリスクを充分に踏まえ、法的整備や業務の範囲、担当するヘルパーの要件を明確にし、ヘルプサービス事業の一環としてサービス提供ができるよう、十分な条件整備を望む。

患者家族

@    ALS患者家族の現状と問題点の概要を説明。在宅療養生活を送る上で、福祉施策が十分有効に機能しない一因が吸引問題である説明と分科会で検討して欲しい事項を説明した。

A    在宅の現場での具体的事例を用いて、訪問看護の不十分さ、吸引問題により家族が疲労困憊している状況を説明した。家族のレスパイトを確立させないと患者のQOLを高めることが無理であることの説明。そのためにもヘルパーの吸引の必要性を訴えた。

B    在宅療養中に自らの介護に当たってくれていた母親をなくし、在宅療養の大変さを切々に訴えた筋ジス患者のコメントを紹介した。患者や家族は生命がかかっていることであり、命を守る立場での議論をお願いした。

<第2回での参考人発言後の主な質疑応答>

主な質疑・意見

おもな回答と意見

<五阿弥委員>

在宅の痰の吸引実施者の現状とその評価

<患者家族>

平成12年9月ALS協会実施のデータでは、医療職・家族以外が実施している割合が37%あること、医療を中心に保健・福祉の連携のもと実施できている事例がある。

在宅療養支援体制を目指すうえで

<福永委員>

@    在宅療養は必要十分で適切なシステムが構築できればQOL向上につながる。

A    在宅療養は、様々職種がボーダレスでかかわりつつあるのが現実である。

B    体制不十分は医師の責任もある。

<山崎委員>

@    署名をお集めになって、行政をここまで動かした患者団体の皆様には、大変敬意を払う。

A    在宅医療は自己負担・自己責任でなりたっているのが、現状。単に生命を守るということだけではなく、やはり質の高い生活をどのように私たちが、在宅でサポートできるか考えていきたい。

B    マイナースにより吸引問題も解消できないか。看護協会は120万名を抱えており、応えうることができると思う。

<川村委員>

在宅医療というのは安上がりの医療ではない。病院に入院している方と同じような基本的なサービスを受けるべきだと考え、データを一生懸命に出してきたつもり。ここは国としての設定された討論の場ですので、やはり個人的な解決、ボランティアということを求めるのではなく、制度として少しでも解決を図っていけるような方向性を是非貫いてほしいと希望する。

<福永委員>

ヘルパーは

やりたくないと

聞こえるが

<ヘルパー>

私たちは責任を持って「出来る」とは言えないというふうに思う。

<介護福祉士>

しっかりとした体制整備がない中で、患者の生命とか身体の安全を守るといった観点から、大きな悩みがある。

<星委員>

24時間看護体制

<訪問看護>

お金が低いから行かないというわけではない。体制が整えば、支援していきたい。

<ヘルパー>

医療・介護のグレーゾーンを整理するのが先である。体制が整えば、ヘルパーも役割を担いたい。

<患者家族>

まず、患者の生存権と家族の生活権を守る視点が大事である。医療が24時間必要であれば、在宅に移行すること自体がおかしい。24時間体制など、非現実的である。訪問看護師もレベルの低いのがいる。ヘルパーでも教育すれば、吸引できるであろう。これまで、吸引によって大きな事故は経験ない。

指名制と呼吸リハ

<訪問看護>

指名制は理想であるが、現実的には無理。呼吸リハ非常に重要であり、引き続き学び実践していきたい。

<患者家族>

指名制は、看護・介護においても重要である。呼吸リハも重要であり、更なる実践を望むが、PT/OTも吸引できないので、吸引問題の解決が望まれる。

<五阿弥委員>

24時間看護は非現実的で医療を中心にヘルパーに認めるべきでは

<訪問看護>

吸引は医療行為であり、医療が担うべきもの。条件をつけて認めるという考えは持ち合わせていない。

   B 第3回看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会

テーマ

質疑

回答及び意見

宮城県の介護人派遣事業について

<五阿弥委員>

当該事業での吸引実施の有無

<伊藤委員>

吸引の是非は明示していない。但し、家族同等と位置づけることで、医師の指導のもと可能と捉えている。家族と同等とみなす考え方は、「この人であれば任せていい」という考え方に基づいているものであり、決して、誰でも良いというものではない。

<山崎委員>

費用負担は

<伊藤委員>

県の負担、単独事業。

<星委員>

有効なものだと思う。

<五阿弥委員>

現実例を踏まえて、議論したほうが、良い点、悪い点含めて、問題解決によりつながりやすくなるはずである。実際にできている例を取り上げ、分析するべき。常識的な判断が必要である。

<座長>

看護師だけでは足りない現実に対して、宮城県での介護人派遣方式は有用である。

危険性の分類

<座長>

類型化した上で、一定の基準を設けて福祉職に任せることができる部分もあるかどうか

<福永委員・山崎委員>

危険性を分類するのは難しいのではないか。個別性、状況による危険性の分類の一般化は難しい。

<星委員>

家族に任せている範囲や現状どうしているか再確認したほうが、分類化はしやすいのでは。医学的な視点で見すぎると現実的な問題解決に繋がらない。

 

分科会の議事運営について

 

 

 

 

分科会の議事運営について

 

<川村委員>

議論が混乱している。在宅にきちんとした医療を提供する方針が大切である。現在、在宅療養は質も量も不十分。人権が侵されている。きちんと問題がなにか、整理して議事運営して欲しい。また、議論毎にまとめが必要である。基本的合意事項内容の確認を求める。議事内容について開催前に連絡欲しい。

<福永委員>

川村委員の指摘はわかるが、分科会の役割は、違うのではないか。

<平林委員>

座長の発言は、委員としてか、座長としてか。座長の議事運営について、適正なるものを求める。

<座長>

問題点を整理するために、問題提起していただいた。決して、今日まとめなければならないものではない。

議論の方向性について

<五阿弥委員>

現状にそくしてかえるものはかえるべき。看護は充実すべきだけど、24時間の訪問看護は非現実的である。理想と現実は区別するべき。痰の吸引が「できる」方向性での議論が必要である。

<川村委員>

「あら看」での検討により看護師の静脈注射可とした件と「分科会」でのヘルパーに吸引可かどうかの議論については、同列ではない。静脈注射は医療機関の中で、医療資格を有している人がいっているのに対して、ヘルパー吸引は、場所の前提も違えば、医療資格もない。安全性が十分確保できていないところでの議論である。違いがある。

<平林委員>

現実があるから良いという議論ではなく、それなりの論理性・合理性が必要。今回の検討は、吸引行為の解禁によって、他の医療行為も解禁になる可能性がある。座長の言うリアリティのある解決策は何か。在宅療養での家族の役割と位置づけの議論も必要ではないか。在宅療養は安全確保が第一である。在宅医療と療養の議論には、限界があるのでは。医療全体をどうするのだ、という背景に大きな問題もあることも認識してほしい。

<星委員>

暫定的な視点と長期視点が必要。緊急非難として対応することの継続は難しい。緊急避難と将来像をしっかり区別して議論すべきである。

家族の医療行為

<平林委員>

家族がやっているからよいではなく、家族の吸引の議論も必要ではないだろうか。

<座長>

医行為の問題について、家族がやることがなぜいいのか等の整理が必要であろう。

<星委員>

吸引について家族にはどのような指導を行っているのか。また、A家族は、A患者だけでなくB患者まで行うことは良いのか、悪いのか等、議論が足りない。それを深く議論することでヘルパー吸引議論に応用できるのは。

 

 

訪問看護充実

 

 

訪問看護充実

<座長>

訪問看護充実は共通認識である。しかし、必要な質と量をどう確保できるのか。現実的には、どこまで訪問看護が充実できるのかは大切なポイントであると思う。しかし、現実には、訪問看護が十分に行き届いていない状況や根拠あるいはデータなしには、深い議論はできない。

 

<星委員>

常識の視点で言えば、24時間看護はあまり常識的ではない。

検討時期目処

<事務局>

春までとの大臣の方針を重視しているが、春までに議論が十分でない場合は、多少の延長は可能。

 

以上