議論のまとめが本格的になりました
ヘルパー吸引問題検討委員会レポート
(第7回)(4月22日10〜12:00時厚労省9階省議室)
省議室:ロビー
関連報道:毎日朝日
                      
                     私的傍聴記


 北海道では雪が降ったという寒い日の翌日、東京は暖かく桜は影も見えませんでした。新潟はまだ少し花色が残っています。前回法的な裏付けの試みと今までの議論のとりまとめが始まりました。その論議を受け、今回はかなり纏まった草案が組まれ事務局から提示されました。下記資料2に全容が記されていますのでご覧下さい。2部から成っています。1.在宅ALS患者の療養環境の向上を図るための措置について。2.たんの吸引行為について。ポイントは2.の(2)家族以外の者によるたんの吸引について、です。その中で「在宅療養の現状に鑑みれば、家族以外の者によるたんの吸引の実施についても、一定の条件の下では、当面の措置としてやむをえないものと考えられる」とし、6項目の条件を挙げています。
 事務方による内容説明は15分で終わり内容全体について活発な論議が交わされました。
看護介護は家族が当然という書きぶりは誤解を招く、単身者も考慮すべし。制度としては医療保険か介護保険か?私的な事ならそれと明記すべし。カニューレ内のみ吸引可能ということで良いのか。3年なりの見直しの時限を入れるべし。在宅医療を支える全体図が必要。在宅医療の整備について今後議論を深める場が必要であると書くべし。等々、詳しくは吸引委員会事務局または厚労省からの報告にお任せします。 今回の議論を踏まえ、事務方は次回5月13日までに答申の素案を作成し各委員に配布するそうです。その上でできれば次回でまとめたい、と座長が締めてお終いでした。
 あくまでも「吸引は医療行為」であることを強調しながらも「してはいけないと言うことではないが」と一歩譲りつつ「訪問看護の充実」を大目標とする看護側、その法的な整合性を求める法律家、時代の流れの中で一定の見解が必要なのだと現実的な医師、そして在宅医療の全体的な充実を求める論説家とそれぞれの立場らしい主張が飛び交いそれなりに充実した検討会でした。が、終了後のロビー集会での評価は「一歩前進ではあるけれど業としてやってはいけないのか、他疾患の方達はどうなるのか」などイマイチ。患者会の感想は橋本みさお吸引問題解決促進委員長の次のコメントに集約されるでしょう。「議論を深めて完全無欠のシステムができるまで頑張りましょう」。(新潟県支部:若林)
おりしも坂口大臣がロビーで集会している私達の後ろを
通って行かれました→
きっと7人の車椅子の患者さん達が目に入ったことと思います。
カメラを向けたときには既に車中の人でした。
(吸引問題解決促進委員会事務局長からの報告がありましたので一番下に転載しました)
配布資料より
          看護師等によるA L S患者の在宅療養支援
                 に関する分科会(第7回)

                    資 料 目 次

  資料1 家族以外の者がたんの吸引を行う場合の条件について(案)
  資料2 これまでの議論の取りまとめ
 資料2

                                       
      これまでの議論の取りまとめ     

 1.在宅ALS患者の療養環境の向上を図るための措置について             

  (1)在宅療養サービスの充実         

  @施策の総合的な推進             
   ○ ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、筋萎縮と筋カ低下が特徴的な疾患 
      であり、徐々に全身に拡がり、歩行困難になるほか、言語障害、嚥下障     
      害、呼吸障害に及ぶものであり、病気の進行により、コミュニケーショ
      ンも阻害され、ベッド上の生活を強いられる患者の苦悩は計り知れない。     
     ○ 患者は長期にわたる療養を余儀なくされている状況にあり、人工呼吸 
      器を装着しながら在宅で療養している患者にとっては、頻繁にたんの吸         
      引が必要なこともあり、患者及び患者を介護する家族にとっての負担は     
      大きい。             
     ○ こうした現状を踏まえ、患者のQOLの向上や患者及び家族の負担の     
      軽減を図るため、在宅ALS患者の療養環境の更なる向上が求められて
    
おり、患者が家族の介護のみに依存しなくても、円滑な在宅療養生活を     
      送ることができるよう、以下のような施策を総合的に推進していく必要     
      がある。             
  
    A訪問看護サービスの充実と質の向上               
    ○ 在宅ALS患者の療養生活を支援するためには、訪問看護サービスが 
       十分に提供されることが重要であり、引き続き訪問看護サービスの充実     
       を図っていくことが求められる。 
      ○ また、在宅ALS患者が必要なときに適切な訪問看護サービスを受け             
       ることができるようにするためには、診療報酬で定められた回数を超え     
       る訪問看護の提供を可能としている「在宅人工呼吸器使用特定疾患患者     
       訪問看護治療研究事業」を活用することが重要であることから、実施主     
       体である都道府県に対して事業の周知徹底を図るとともに、その取組を     
       促進していく必要がある。
      ○ さらに、24時間の巡回型訪問看護の実施に向けては、同一日に、一
       人の利用者に対し、複数の訪問看護事業所(訪問看護を実施する医療機
       関及び訪問看護ステーションをいう。以下同じ。)から複数回の訪問看
       護を行えるようにする必要があることから診療報酬上の要件について
       検討することが望まれる。
      ○ 訪問看護の質の確保については、訪問看護師に対する研修や潜在看護
       師に対する研修等訪問看護サービスを担うべき看護職員の質を高める
       ための施策を講ずるべきである。
    
    B医療サービスと福祉サービスの適切な連携確保
      ○ ALS患者の在宅療養の支援に関しては、医療機関、訪問看護事業所、
       訪問介護事業所などのサービス提供機関、あるいは、都道府県の保健所
       や市区町村の担当部局など、医療や福祉などの関係機関が多岐にわたっ
       ているが、各種サービスの患者への提供についての総合的な連携・調整
       が十分とは言えない状況にあることから、各機関が相互の連携を適切に
       図り、地域でのチームケア体制を確立していくことが求められている。
      ○ 医学的な管理が必要である在宅ALS患者については、チームケア体
       制において、主治医が中心となるべきであるが、その際、患者の退院時
       指導に医療や福祉の関係者を参加させるなどにより、入院期間中から地
       域でのチームケア体制の確立を図るべきである。なお、在宅ALS患者
       の主治医に対しては、ALSに関する専門知識等について情報提供が行
       われることが必要である。
    ○ また、介護保険制度の導入に伴い、保健所保健師の難病患者への関わ
     りが弱まつたという指摘もあるが、在宅ALS患者を支援するチームケ

        ア体制の確立の上で、医療の二一ズが高い患者にとって、各種サービス
        が最適な組み合わせとなるようにするためには、保健所保健師等が担う
        べき総合的な調整機能はζれまでと同様重要であり、今後とも当該機能
     の充実強化を図るべきである。
     
    C在宅療養を支援する機器の開発
      ○ たんの自動吸引装置等在宅療養を支援する機器の開発・普及の促進は、                    患者及び家族の負担の軽減に資するものであることから、引き続き機器                  の研究開発の促進を図るための措置を講じるべきである。                   
    
    D家族の休息(レスパイト)の確保               
      ○ 家族に必要な休息(レスパイト)を確保し、在宅ALS患者の療養環                            境の向上を図るため、今後とも二難病患者等のホームヘルプサービス事                    業、ショートステイやデイサービス事業などの各種の施策の充実を図っ                    ていく必要がある。               
      ○ なお、都道府県や市町村において、独自に先進的な事業に取り組んで               いるところもあり、これらの施策か有効に活用され、また、各地におけ                    る取組の参者となるように、各種施策の情報提供や周知に努めるべきで                        ある。               
  (2)入院と在宅療養の的確な組合せ                           
    @入院から在宅への円滑な移行                   
      ○ 在宅への移行の判断は、医師の判断に基づくものであるが、患者の病
       状や患者の療養環境も踏まえた、遭切な退院時指導の実施を促進するた                  め、退院時指導の基本的なルール作りが必要である。                

    A緊急時等の入院施設の確保                       
      ○ 患者の病態急変などに対応するため、入院施設を確保するための施策                   の充実が必要である。                     

 2..たんの吸引行為について                           

   (1)たんの吸引の安全な実施                       
   @専門的排たん法の普及                           
     ○ 専門的排たん法(体位排たん法、呼吸介助法(スクィージング)、軽              
      打法、振動法など)が適切に実施されれば、たんの吸引の回数を減少さ                  
      せることができることから、たんの吸引に伴う患者及び家族の負担の軽                      減を図るためにも、専門的排たん法の普及促進に努める必要がある。
 

     A日常的なたんの吸引に関する適切な対応
    ○ 目常的なたんの吸引については、行為の危険性に応じた適切な対応
    
(プロトコル)を示すことが必要である。

   (2)家族以外の者によるたんの吸引について
     ○ 家族以外の者(医師及び看護職員以外の者をいう。以下「家族以外の者」
      という。)によるたんの吸引の是非を論じるのであれば、医療と福祉の関
      係、それぞれの役割分担も含めて、在宅医療に携わる者の行う業務や在宅
      医療そのものの在り方についての議論が必要であるという意見があった
     ○ これに対し、当面する問題について、次のような対応を急ぐべきである
      との意見が多かった。
   ○ 
ALS患者に対する家族以外の者によるたんの吸引については、医師
    及び看護職員により十分にサービスが提供されるならば、実施する必要

    はないと考えられる。

     ○ しかしながら、任宅療養の現状にかんがみれば、家族以外の者による
      たんの吸引の実施についても、一定の条件の下では、当面の措置として
      行うこともやむを得ないものと者えられる。この揚合においても、医療
      サービスを受ける機会が閉ざされることのないようにすべきである。
     ○ なお、この取扱いについては、訪問看護サービスの更なる充実やたんの
      自動吸引装置の開発・普及の進展等、今後における在宅療養環境の変化に
      応じて、適宜・適切に見直すことが必要である。
     ○ 以下は、家族以外の者が患者に対してたんの吸引を行う場合の条件を示
      したものである。
       i)療養環境の管理
        ○ 主治医は、患者の病状を把握し、退院が可能かどうかについての判
          断を行う。
        ○ 主治医・看護職員は、患者が入院から在宅に移行する前に、当該患
          者について、家族や専門病院の専門医、看護職員、保健所保健師、家
          族以外の者等患者の在宅療養に関わる者の役割や連携体制などの状
          況を把握・確認する。
        ○ 主治医は、患者や家族に対して、在宅に移行することについて、事
          前に「説明」を適切に行い、「同意」を適正に得る。
        ○ 家族は、患者の在宅への移行に備え、物晶等必要な準備を関係者の
          連携の下に行う。
        ○ 家族、地域の主治医、専門病院の専門医、看護職員、保健所保健師、
          家族以外の者等患者の在宅療養に関わる者は、患者が在宅に移行した
          後も、椙互に密接な連携を確保する。
       ii)在宅患者の適切な医学的管理
        ○主治医看護職員は、当該患者について、定期的な診療や訪問看護
          を行い、適切な医学的管理を行う。
       B)家族以外の者に対する教育
        ○ 主治医・看護職員は、家族以外の者に対して、ALSやたんの吸引
          に関する必要な知識を習得させるとともに、当該患者についてのたん
          の吸引方法についての指導を行う。
       iV)患者との関係
        ○ 患者は、必要な知識及びたんの吸引の方法を習得した家族以外の者
          に対してたんの吸引について依頼するとともに、当該家族以外の者が
          自己のたんの吸引を実施することについて、文書により同意する。
       V)医師・看護職員との連携による適正なたんの吸引の実施
                                            (:別紙参照)
        ○ 適切な医学的管理の下で、当該患者に対して適切な訪問看護体制が
          とられていることを原則とし、当該家族以外の者は、主治医・看護職
          員の指導の下で、家族及び主治医・看護職員との連携を密にして、適
          正なたんの吸引を実施する。
        ○ この場合において、気管カニューレ下端より肺側の気管内吸引につ
          いては、迷走神経そうを刺激することにより、呼吸停止や心停止を引
          き起こす可能性があるなど、危険性が高いことから、家族以外の者が
          行うたんの吸引の範囲は、口鼻腔内吸引及び気管カニューレ内部まで
          の気管内吸引を限度とする。
        ○ 主治医・看護職員は、定期的に、当該家族以外の者がたんの吸引を
          適正に行うことができていることを確認する。
       E)緊急時の連絡・支援体制の確保
        ○ 家族、地域の主治医、専門病院の専門医、看護職員、保健所保健師、
          家族以外の者等の間で、、緊急時の連絡・麦援体制を確保する。           

海野吸引問題解決促進委員会事務局長による速報の転載↓
各位

看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会(第7回)
日時:平成15年4月22日(火)10:00-12:00
場所:厚生労働省省議室(9階)

患者さん7名を含む数多くの方が傍聴。これまでで一番の立ち見がでる状況で
あった。既にTVや新聞等で「厚労省、ヘルパー吸引認める」と報道されている
のをご覧になった方もいると思いますが、個人的には報道が先行している感もあ
り、傍聴した視点から本日の内容を下記します。

今日の分科会で、以下案が示された。
「家族以外の者によるたんの吸引の実施についても、一定の条件の下では当面の
措置として行うこともやむを得ないものと考えられる。なお、この取り扱いにつ
いては、今後のおける在宅療養環境の変化に応じて、適宜適切に見直すことが必
要である」と。家族以外の者が行うことについて、認めることの案が示されたこ
とは大変大きな前進である。会議の中では、この案を下に様々な議論が行われ
た。しかし、本日会議でこれが結論であるとは明言していないと捉えています
(傍聴された方、是非補足ください)。次回5月13日18:00から厚生労働省9F省
議室でまとめが行われる予定。
ただし、上記案が示されたものの@「家族以外の者のたんの吸引は業として行う
ものではない」A「ALS以外、在宅以外については触れられていない」B「吸
引は医療行為である」C「家族以外の者のたんの吸引は医師や看護職員の指導の
下となっているが、国や都道府県の明確な役割は不明」など問題点が残る。

(以下、長文になるので、お時間のあるときに、どうぞ)

議事
1、 家族以外の者がたんの吸引を行う場合の条件について
2、 これまでの議論の取りまとめ


Q 医療サービスとは
A 医師、看護師による医療サービスのこと

Q 家族介護が前提となっている考え方は改めていくべきでは。
A これまでの議論の取りまとめにあるように「患者が家族の介護のみに依存し
なくても円滑な在宅療養生活を送ることができる」考えている。

Q 資料1の2の療養環境の管理について「退院」に「医学的判断基づく」を追
加。
A 次回までに整理する。

Q 資料1の2の療養環境の管理について「患者の病状」に「療養環境」を追
加。
A 次回までに整理する。

Q 資料1の1の趣旨で「家族以外の者」の表現について。
A 家族以外の者だけであると、全てが入るため、医師及び看護職員以外の者を
付け加えた。

Q 非医療職という言い方もあるが。
A 非医療職という言い方は使用していないし、使用する予定はない。

Q 資料1の1趣旨に「たんの吸引について危険性をかんがみれば」を追加すべ
きでは。
A そのようにしたいと思う。

意見 在宅移行への準備等を家族がやることに疑問。医療が責任をもってやるべ
き。

Q 資料1の趣旨1の○2「在宅療養の現状」に適切な説明文が必要。
A これまでの議論を踏まえて説明文は足します。

Q 連携図における、介護保険との関連は?
A この図は、あくまでも訪問看護と家族以外の者との連携について、示したも
のであり、それについては触れていない。

Q 家族以外の者のたんの吸引は業として行うものではないのですか。
A 業として行うものではない。今回はヘルパーだけでなく、全てが入るので、
業としない考えを含んだ。

Q であれば、その財政的な裏づけはどうするのか。
A 再検討する。

Q ヘルパーは業として関わるはずなので、きちんと財政的な裏付けも含めて整
理してほしい。
A 整理します。

Q たんの吸引の指導等は、都道府県が主体になるのか。
A 連携図は難病対策の関連の視点から記した。(都道府県が主体になるとの明
確な回答はない)指導等については、訪問看護等に委ねられると考える。

Q 24時間在宅療養支援に関する国や自治体の位置づけが明確な体系図が必要。
A 検討し、作成します。

意見 医療行為であることを明確に定義し、危険性をかんがみる視点が必要。

Q 当面の措置を明確に記す必要があるのではないか。
A 訪問看護の充実等により適時適切に見直す。今の状況では、いつごろまでに
は定義は難しい。

意見 当面の措置という表現ではなく、ある段階で区切って、これまで行ってき
たことに対する評価や改善などについてすべきである。

意見 非医療職による吸引をみとめたわけではない。したがって、見直しの時期
を明示すべき。

Q 家族以外の物がたんの吸引する際の質の担保はどのようにするのか。この案
以外の内容をしたときの違法性は。

Q この案は私的関係にもとづくものではなく、制度上の話ではないのか。

Q 厚生労働省が家族以外の者がたんの吸引をすることに対するこれまでの否定
の態度から、容認に動いた、理由を明示すべきでは。
A 分科会での議論に基づいて示したい。

意見 国と自治体の役割、責務を明確にするべきである。案には国がでてきてい
ない。

意見 在宅医療を深める議論の場を別の場でもつべきである。

Q 医行為についての判断を看護師がすべきなのか。
A たんの吸引に限った話ではないので、そのテーマについては、別の場で議論
すべき。


次回 5月13日 18:00−20:00 場所 厚生労働省9F省議室



資料1
1、 趣旨
○ ALS患者に対する家族以外の者(医師及び看護師以外の者をいう。以
下「家族以外の者」という)によるたんの吸引については、医師及び看護職員に
より十分にサービスが提供されるならば、実施する必要はないと考えられる。
○ しかしながら、在宅療養の現状にかんがみれば、家族以外の者によるた
んの吸引の実施についても、一定の条件の下では当面の措置として行うこともや
むを得ないものと考えられる。この場合においても、医療サービスを受ける機会
が閉ざされることのないようにすべきである。
○ なお、この取り扱いについては、訪問看護サービスの更なる充実やたん
の自動吸引装置の開発・普及の進展等、今後のおける在宅療養環境の変化に応じ
て、適宜適切に見直すことが必要である。
○ 以下は、家族以外の者が患者に対してたんの吸引を行う場合の条件を示
したものである。

2、 療養環境の管理
○ 主治医は、患者の病状を把握し、退院が可能かどうかについても判断を
行う。
○ 主治医・看護職員は、患者が入院から在宅に移行する前に、当該患者に
ついて、家族や専門病院の専門医、看護職員、保健所保健師、家族以外の者等患
者の在宅療養に関わる者の役割や連携体制などの状況を把握・確認する。
○ 主治医は、患者や家族に対して、在宅に移行することについて、事前に
「説明」を適切に行い、「同意」を適正に得る。
○ 家族は、患者の在宅への移行に備え、物品等必要な準備を関係者の連携
の下に行う。
○ 家族、地域の主治医、専門病院の専門医、看護職員、保健所保健師、家
族以外の者等患者の在宅療養に関わる者は、患者が在宅に移行した後も、相互に
密接な連携を確保する。

3、 在宅患者の適切な医学的管理
○ 主治医・看護職員は、当該患者について、定期的な診療や訪問看護を行
い、適切な医学的管理を行う。

4、 家族以外の者に対する教育
○ 主治医・看護職員は、家族以外の者に対して、ALSやたんの吸引に関
する必要な知識を習得させるとともに、当該患者についてのたんの吸引方法につ
いての指導を行う。

5、 患者との関係
○ 患者は、必要な知識及びたんの吸引の方法を習得した家族以外の者に対
してたんの吸引について依頼するとともに、当該家族以外の者が自己のたんの吸
引実施することについて文書により同意する。

6、 医師・看護職員との連携による適正なたんの吸引の実施(注:別紙参
照)
○ 適切な医学的管理の下で当該患者に対して適切な訪問看護体制がとられ
ていることを原則とし、当該家族以外の者は、主治医・看護職員の指導の下で、
家族及び主治医・看護職員との連携を密にして、適正なたんの吸引を実施する。
○ この場合において、気管カニューレ下端より肺側の気管内吸引について
は、迷走神経層を刺激することにより、呼吸停止や心停止を引き起こす可能性が
あるなど、危険性が高いことから、家族以外の者が行うたんの吸引の範囲は、口
鼻腔内吸引及び気管カニューレ内部までの気管内吸引を限度とする。
○ 主治医・看護職員は、定期的に当該家族以外の者がたんの吸引を適正に
行うことができていることを確認する。

7、 緊急時の連絡・支援体制の確保
○ 家族、地域の主治医、専門病院の専門医、看護職員、保健所保健師、家
族以外の者等の間で、緊急時の連絡・支援体制を確保する。

資料2 (以下略)