「A L S宣言」


小出 功
筋萎縮性側索硬化症を背負って、歩みつづける全ての兄弟たちよ!

我々は病に加えて、治療薬も治療薬もなくやかて迫り来る死への恐怖ー
その二重三重の地獄に呻吟してきた.依って立つ大地は足元から消え、
この世のあらゆる灯火も一斉に消えた.
天を呪い、世をはかなみ、人を恨み、我か身を嘆いて無限の暗闇をさまよいつづける、
その骨身をとおす絶望の深さはリ知れない−

だが、しかし・・・・・
その中にあっても、ついに・‥ついに、我々一人一人の深いふかい‥・
命と、熱と、真に生きようと願う患う心は、けっして枯れてはいなかった
病気でありなから、病気の絶対事実を認めることが出来ない、深いふかい
己れの心の病と我執と罪に目覚める得ることが出来た.
如何なる状況の中にあっても、思惟することの出来る、人間であるが故に
与えられていた本源的な魂は死んではいなかった
難病であれはあるほと、その中にこそ、本当の道あり、本当の人間あり、
本当の兄弟の連帯あることを知った!
我々はついに探り当てたのだ.
不信、不和、差別、偏見、争い、葛藤渦巻くこの世の中に、大きな連帯の光を
見出したのだ.
この難病なければこの光りは、ついに見出し得なかったであろう.
今こそ我々は、難病であることをむしろ誇りとしよう。
そしてこの誇りと兄弟間の連帯の輝きをもって、太陽のようにこの世を
照らしてゆこう!
兄弟達あることによって、
この世に光あれ
平成8年(1997年)7月6日


小出功さん(新潟市)は50才で奥様を亡くされてから出家し
独居僧侶として同病者を励まし続けておられました。
この宣言は1997年7月の 第10回記念総会でご自分が読み上げられたものです。
初代の支部ホームページにも掲載されました。
その自立と連帯の精神をもって新潟県支部の根幹をなすものでありたい、とここに掲載させて頂きます。
奇しくも他界されて3年目のこの日に配信することに、
不思議な縁を感じます。
(2002年5月24日記)