雑情報のページ

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*1)新潟日報 webより

口腔ケアシステム開発研究始まる


 要介護者の摂食嚥下(えんげ)機能を維持・回復する効果的な口腔保健医療ケアシステムを全国に先駆けて開発する研究が、新大歯学部、日本歯科大新潟歯学部、県、県歯科医師会から成る共同チームによって始まった。行政、歯科医、介護施設などの幅広い連携体制や対応マニュアルの確立を目指す。6日には新発田市で第1回関係者研修会が開かれた。
 同研究は厚生労働省の補助を受け、3カ年継続事業で実施される。寝たきり者・在宅重度障害者訪問歯科診療の実績が評価され採択された。初年度補助金は1300万円。研究チームの代表は河野正司・新大歯学部付属病院長。


[新潟日報 12月06日(金)]
( 2002-12-06-16:03 )

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*2)新潟日報webより

ALS、時代とともに変化 新大脳研


 全身の運動神経がまひする難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」について、発症の高年齢化、痴ほうを伴うなど、従来典型とされてきた症例と異なる症例が増加していることを、新潟大学脳研究所所長の高橋均教授らのチームが突き止めた。今月、国際神経病理学会の学会誌に論文を発表する。
 論文は2000年までの約40年間、102体の剖検(病理解剖)のデータを基にしている。脳研によると、これだけ長期間、多数の剖検データを蓄積したのは世界でも例がないという。


[新潟日報 01月07日(火)]
( 2003-01-07-17:22 )
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*3)毎日新聞社説(2003-2-2)

2003年02月02日
介護と医療行為 患者、家族の立場で見直しを

 介護と「医療行為」とをどう線引きするのか。

 その論議がようやく3日、厚生労働省で発足する「看護師等によるALS(筋委縮性側索硬化症)患者の在宅療養支援に関する分科会」で始まる。

 あまりに法律と現実との落差が大きい。苦しむ患者、家族の窮状を救うために、できるだけ早くその落差を埋める必要がある。

 「ホームヘルパーなど介護者にも痰(たん)の吸引行為を認めて」と「日本ALS協会」が昨年末、坂口力厚労相に要望したのが今回のきっかけだが、同じような悩み、要望は全国の寝たきり高齢者や重度の障害者、家族にも共通する。

 ALSは、随意筋だけが侵される進行性の神経・筋疾患で、やがて全身が麻痺(まひ)し、話したり、飲食ができなくなり、呼吸さえ困難になる。原因も不明で、治療法も確立していない。

 国内の約6000人の患者のうち、2000人が在宅療養している。大半が人工呼吸器に頼り、痰が詰まって呼吸できなくなる危険に絶えず直面する。

 痰の吸引は24時間必要だが、実際には専門知識を持つ医師や看護師が常時ケアするのは難しい。

 医療保険による訪問看護の回数も限られる。介護保険で訪問介護は相当認められているが、ヘルパーは「緊急時」以外、吸引などの「医療行為」はできない。

 介護する現場での「医療行為」の範囲は広い。つめ切りや外用薬の塗布、浣腸(かんちょう)、点眼、服薬管理、体温測定まで含まれるが、こうした行為も禁じられている。医師法17条で「医師でなければ医業をなしてはならない」という規定による。

 医師や看護師がいない場合、家族が人工呼吸器を扱い、痰の吸引をしている。家族は「業としないから、やってもいい」というのだが、それでは家族の負担は重くなる一方だ。

 家族でやっていいことが、なぜヘルパーに認められないのか。

 これまでの法解釈だけでは、この現実を打開できない。

 介護保険は家族に負担をしわ寄せしない「介護の社会化」を目指す。ヘルパーは家事援助だけでなく身体介護や見守り、心理的なケアなど日常生活ができるよう支援する。家族に頼まれ、違法な「医療行為」をするヘルパーも少なくないという。

 確かにヘルパーといっても均質ではない。痰の吸引の場合は、感染症の恐れもある。

 研修で正確な医療知識や技術を身につける必要はもちろんある。

 介護も医療もこれから一層在宅への流れが強まり、看護師やヘルパーの役割、重要性はますます高まる。ヘルパーも専門知識がさらに要求される。3級ではなく、2級以上のヘルパーを目指す人も増えている。

 医師の指示の下で特定の医療的行為をできるヘルパーを養成することや、新たな資格を与えることも含め、突破口はあるはずだ。

 「医療行為」の解釈を安易に広げてはなるまいが、現実に沿って見直す時代が来たのではないか。


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*4)新潟日報社説2003年2月4日(火)

障害者支援問題 厚労省は利用者の声を大事に

 四月から始まる障害者福祉の「支援費制度」をめぐり、厚生労働省と障害者団体が二週間にわたって対立していた問題が決着した。
 今回の事態を振り返ると、新制度の根幹にかかわる問題を、当事者である障害者への説明を抜きにして、一方的に事を進めた厚労省の強引な姿勢が浮かび上がる。
 そこに障害者団体は憤りを覚え、抗議行動を繰り広げた。一時は、抗議に詰め掛けて庁舎内に入ろうとした障害者を排除するため、厚労省が庁舎を閉鎖する異例の事態もあった。
 厚労省には、混乱を招いた責任を自覚し、障害者との信頼回復に努めるよう求めたい。
 対立は取りあえず収まったが、全面的に解決したわけではない。問題はまだまだくすぶっている。
 今回の問題は、厚労省が国庫補助の見直しを行って、ホームヘルプサービスの利用時間に実質的な上限を設けようとしていることが明らかになったのが発端だ。
 ホームヘルプは障害者が地域で暮らすために欠かせないサービスだ。今まで受けていた利用時間が削られれば死活問題であり、自立生活は困難になる。
 厚労省は一貫して「上限は設けない」と公言してきた。制度開始を目前にしての方針転換は「闇討ちに等しいものだった」と障害者団体は言う。
 障害者団体が猛反発した背景には、福祉後退の懸念がホームヘルプだけではないという危機感があった。
 厚労省は昨年末、障害者の地域生活を支援する二つの事業について、四月から補助金を打ち切ることを決めた。
 地域での相談事業を担い、支援費制度が始まってからも重要になる「市町村障害者生活支援事業」と知的障害者の「地域療育等支援事業」だ。
 二〇〇三年度予算で国庫補助事業から外し、地方交付税措置として一般財源化する。一般財源になれば、市町村の選択によっては、他の施策に充てられる可能性も考えられる。
 この決定も、障害者団体には寝耳に水の話だった。そこへさらに、ホームヘルプの上限問題が明らかになり、障害者の厚労省への不信は頂点に達していた。
 長年続いた「措置制度」を廃止し、新しい「支援費制度」に移行する大事な時である。厚労省自身も新制度を「利用者本位」「選べる制度」への転換だとPRしてきた。利用者を軽視したやり方は反発を招いて当然だ。
 ホームヘルプの上限問題は、厚労省が「当面は現行のサービス水準を確保する」と約束し、障害者団体もひとまず合意した。
 併せて、厚労省は地域生活支援の在り方について「今後は障害者が参画する委員会を設置して検討する」とした。利用者の声を取り入れていく方向が確認されたのは前進だ。
 在宅サービスの水準を低下させないためには、財源確保という抜本的な問題が避けて通れない。
 政府は、四月からスタートする「新障害者基本計画」と「新障害者プラン」の中で、「施設から地域へ」の転換を打ち出した。
 その方針を推進する上でも、障害者福祉の予算を、施設重視から地域生活支援へ思い切って転換させる必要がある。政府の予算措置は依然、施設中心から脱却していない。
 ただ今回の騒動は、支援費制度に対する国民の関心を集める意味ではプラスになった。
 支援費制度は介護保険のように国民から新たに保険料を徴収するわけではない。そのせいか、厚労省の国民への周知の意欲はいまひとつだった。一部の障害者の問題だというとらえ方であってはならない。
 厚労省は利用者の声に耳を傾ける努力を惜しむことなく、支援費制度を真に障害者の自立生活を支えるものに仕上げてほしい。