文字盤入門(その2:唇で読む文字盤:母音式
              口文字コミュニケーション)

(その1:文字盤色々・作り方))
(その3:文字盤の使い方)
(その4:カラーカードなど)

文字盤を持たずに出来るやり方です。唇で母音を作り横の段を介助者が読み上げ、瞬きなどの合図を待ちます。
唇の動きが悪い方は介助者がまず母音を読み、次に横の段を読み上げます。習熟が必要ですが慣れると便利です。

唇で読む文字盤(I式)
口文字盤 type I  (口を動かすのが難しい方の場合)

  「ふ」を伝える場合

1.介助者が五十音表(段)を読み上げる
   ア(の段)、イ(の段)、ウ(の段)・・
   (患者様のYesサイン;ウ段決定)

 2.ウの段を順に読み上げる
   うくすつぬふ・・
    (目標の文字のところでYesサイン ;「ふ」決定)

 ***お互いが暗記している文字列***

  あ か さ た な は ま や ら わ ぱ
  い き し ち に ひ み   り   ぴ
  う く す つ ぬ ふ む ゆ る を ぷ
  え け せ て ね へ め   れ   ぺ
  お こ そ と の ほ も よ ろ ん ぽ
  が ざ だ ば
  ぎ じ  び
  ぐ ず  ぶ
  げ ぜ で べ
  ご ぞ ど ぼ
「ぱぴぷぺぽ」は「あいうえお」のそれぞれの段の後ろに付ける。

「ぱ」を伝えるとき
 アの段→Yes→あかさたなはまやらわぱ→Yes(「ぱ」決定)

「で」を伝えるとき
 アの段、イの段、ウの段、エの段、オの段、ガの段、ギの段、グの段、ゲの段
 →Yes→げぜで→Yes(「で」決定)
唇で読む文字盤(H式)

口文字盤 type H(母音の形が作れる人向き)
口型で母音を伝える
      →段を読み上げる
              →濁点、半濁点をまばたきで伝える
*** 「ぷ」を伝える ***
1.発信者:口の形で母音を表す「う」
2.受信者:母音の段を読み上げる  「う く す つ ぬ ふ」
3.発信者:Yesのまばたき
     さらに1回まばたき 濁点
     2回まばたき 半濁点   →  「ぷ」決定

*** お互いの頭の中にある文字盤の文字列 ***
 あ か さ た な は ま や ら わ
 い き し ち に ひ み   り 
 う く す つ ぬ ふ む ゆ る を
 え け せ て ね へ め   れ
 お こ そ と の ほ も よ ろ ん
 
 先読みはしない。
 
先読み
 する : 非常に親しい限られた人とのコミュニケーション
 しない: 多くのコミュニケーション相手にメッセージを伝える

★上記<唇で読む文字盤>は山本言語聴覚士のメールを主に使わせていただきました。


<口文字コミュニケーション>
★次は北谷好美さん(東京の患者さん)が学生指導用に書かれたものです。
(2010年7月)

≪コミュニケーションの取り方≫(北谷式

≪コミュニケーションのとり方≫

1)「50音での会話法」について

50音を段ごとに横に読み上げてもらいます。
「あ」の段なら「あかさたなはまやらわ」と覚えてください。

※よく間違えられる「い」の段は「いきしちにひみいりい」
「う」の段は「うくすつぬふむゆるう」、
「え」の段は「えけせてねへめえれえ」と省かないで読上げてください。

やり方は、はじめに私が「あいうえお」を口で形作ります。
口のあけ方で読み取ってもらい、
「あ」だったら、介護者が「あーかーさーたーなー」と少し伸ばしながら読み上げていきます。
私が言いたい言葉のところで瞬き(1回)します。

慣れていない介護者の場合は・・・
母音は瞬きを2回します。(あいうえお)
母音以外の段を読み上げてほしいときは
瞬きは1回です。

・濁点は瞬きを2回します。(゛)
・半濁音は瞬き3回します。(°)
・‘ん’は 口を閉じて形を作ります。
・‘を’は ‘お’で代用します。
・吃音・拗音(ぁぃぅぇぉっゃゅょ)等は文脈で判断して下さい。

それを繰り返して会話をします。
読み取ったら、始めに戻って確認して下さい。
もし、途中で間違えていたら、始めから
1文字ずつ確認をしながら読み上げてください。
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夜など横になった状態では、口元が読み取れない事があります。
そんな時には、介護者が自分から
「あーいーうーえーおー」を読み上げ、
私が瞬きした段を読み上げてもらい、いつもどおり会話をします。

大切なのは介護者が一定のスピードで読み上げる事です。

あせらず、落ち着いて聞き取りましょう。
よく一文字目を忘れてしまい、また初めから
聞き取り直す人がいますが、覚えられない人は初めからメモを取りながら聞き取って下さい。

また、介護者の私的な考えを挟み、勝手に単語を作ったりしないで読み取ることに専念して下さい。
話し手は私ですから。


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【メリット】

1.道具を使わない。いつでも、どこでも会話ができる。何か作業をしながらでもできる。
2.顔の(口元)の筋肉を使うので、表情筋の筋力低下を防止しているかも。
3.声が出る人の場合は発声しているので、肺活量の低下防止に役立っているのでは。
4.3に関連して、発音には舌の動きが必要なので舌も鍛えられているかも。
5.文字盤だと視線が文字盤に集中してしまうと思いますが、口文字だと目線で読むこともでき、
  多くを語らなくても言いたい事を伝えられる。 ⇒ 電灯、エアコン、TV、PC、窓など

6.介護者が少し離れた場所にいても読み取る事ができる。
7.自分が話したい事を文字盤よりも早く伝えられると思う。

【デメリット】

1.介護者が気づかずにいると話せない。
2.介護者の私的な考えを挟まれると会話が進まずに困る。
3.読み上げのスピードとリズムに気をつけないと一方通行になってしまう。
4.介護者の記憶力と読解力が重要。
5.言葉を知らない人には会話が通じず時間がかかる。
6.話の流れを汲むことができない、話の内容を理解できない人には対処の仕様がない。
7.文章が長くなった時のため、「、」は右に首を振り、
  「。」は左に首を振ることにしましたが、いかされていない。

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あかさたなはまやらわ


いきしちにひみいりい


うくすつぬふむゆるう


えけせてねへめえれえ


おこそとのほもよろを


()

☆口を閉じたら ⇒ん